こんにちは、中国茶ライフスタイル文化協会代表理事のゆえじです。
こちらの記事では中国における2020年の白茶事情をご紹介します。
\ 白茶ってなに?基礎知識はこちら /
2020年の統計:白茶は生産も消費も拡大傾向!
今回は2020年の中国国内における白茶の統計情報をご紹介します。トピックは以下の通りです。
生産状況
- 中国茶全体の生産量:298.6万トン
- うち白茶の生産量:約7.35万トン(対前年2.39万トン増/+56.3%)
白茶全体における福建産白茶の比率は
86.9%(2017年)→75.7%(2020年)に減少
→福建以外の産地のシェアが拡大し、市場全体を底上げしている
福建白茶の季節別生産比率
- 春茶:60%
- 秋茶:25%
- その他:15%
近年、福建では大企業を中心に技術革新が進み、品質を安定させながら大量生産できる環境が整ってきている。
販売状況
市場規模
中国茶全体の販売量:220.2万トン
うち白茶の販売量:約6.25万トン
(対前年2.22万トン増/+48.1%)
3年以上の陳年白茶が人気
半数以上の白茶企業は3〜6年物の白茶を増やすため、2020年販売量を上回る数の在庫を抱えている。(そう考えると陳年茶にはシンプルに数年分の保管料が原料コストに上乗せされているんだなと実感)
白茶の製品構成
寿眉が全体の50%以上、高価格帯では白牡丹が約25%程度のシェア
生産区別の白茶の販売割合
主流はやはり福建白茶
- 福建産区の白茶:全体の70%
- 雲南産区の白茶:全体の25%
- 湖南産区の白茶:全体の4%
- その他の生産区の白茶:全体の1%
参考価格(元/斤)
※1斤=500g
- 白毫銀針:1500-2000元/斤
- 白牡丹:400-600元/斤
- 寿眉:100-300元/斤
この価格を1kgあたりの日本円価格に換算すると↓
※1元=17円で計算
- 白毫銀針:51,000-68,000円/kg
- 白牡丹:13,600-20,400円/kg
- 寿眉:3,400-10,200円/kg
おもな購買者の年齢層は35〜60歳
白茶は健康効果がうたわれ中高齢者に好まれる傾向
近年は安価な寿眉などよりも高品質な白毫銀針や白牡丹や10年物の老茶など高価格帯の製品が人気でブランド品も認知を拡大している。
注目の白茶・全国ブランド
白茶の全国ブランド「品品香」
「品品香」は福鼎白茶のブランドで全国にチェーン展開しています。私の拠点である福州にもいたるところに販売店があります。
私も何度か購入したことありますが、おいしいです!特に白牡丹は比較的手に取りやすい価格帯で味わいと香りのバランスもよく飲みごたえがありました。
\ 白牡丹ってどんなお茶? /
「品品香」はその資本力を生かして、大規模な生産工場をかまえて大量生産しています。また、大学の研究機関と協力してLED室内萎凋など最新技術も導入。
ほかにも有機白牡丹など高付加価値商品も積極的に開発しているおもしろい企業です。
有機の白茶は日本のJAS有機はじめ世界の有機認証を取得しているので、今後は世界に向けた販売も視野にいれているようです。
今はまだマイナーな白茶を発掘
白茶といえば福建・福鼎&政和の白毫銀針や白牡丹、雲南の月光白が有名です。今回はそれ以外のマイナー産地の白茶をご紹介します。
1.福建省の白茶産地(福鼎・政和以外)
白茶の代表的な産地といえば福建省の福鼎と政和。ここでは他の福建の白茶産地もご紹介します。
寧德各地の白茶
福建省寧德市内でも白茶を生産しています。主なエリアは寿寧県、柘荣県、蕉城区天山山脈。
栽培されている品種は福鼎大白茶、福鼎大毫茶、福雲6号、福雲7号、福安大白茶、茗科1号(金観音)、金牡丹など多数。
原料のグレードに合わせて白毫銀針、白牡丹、貢眉、寿眉などを生産しています。
寧德では「花香白茶」「花香牡丹」など白牡丹の香りをより華やかに引き立てたものや、セレンや亜鉛を多く含む白茶の生産にも取り組んでいるのが特徴です。
<参考標準(中国語)>
T/SNCX 004-2017 寿寧高山白茶
http://www.ttbz.org.cn/Pdfs/Index/?ftype=st&pms=21541
T/ZRXCX 004—2018 柘荣高山白茶
http://www.ttbz.org.cn/Pdfs/Index/?ftype=st&pms=25871
T/CSTEA 00003—2019 宁德天山白茶
http://www.ttbz.org.cn/Pdfs/Index/?ftype=st&pms=28828
建陽白茶
建陽の白茶は栽培品種によっておおきく2種類に分かれます。
・建陽水仙白茶
烏龍茶でよく登場する水仙を使った白茶です。グレードによって「建陽水仙白茶」「水仙銀針」「水仙牡丹」「水仙寿眉」に分類されます。
・建陽小白茶
地元の群体種(在来種)を使った白茶。生産された白茶は原料グレードによって「小白銀針」「小白貢眉」「小白寿眉」に分類されます。
<参考標準(中国語)>
T/CSTEA 00014.1—2020 建阳白茶 第1部分:建阳水仙白茶
http://www.ttbz.org.cn/Pdfs/Index/?ftype=st&pms=40940
T/CSTEA 00014.2—2020 建阳白茶 第2部分:建阳小白茶
http://www.ttbz.org.cn/Pdfs/Index/?ftype=st&pms=40945
松渓白茶
福建省南平市松渓県で生産される白茶のこと。
松渓白茶の代表格は九龍大白茶という品種をつかった九龍銀針、九龍白牡丹。ほかにも白毫銀針、白牡丹、松渓小白茶、寿眉、緊圧白茶を生産しています。
<参考標準(中国語)>
松渓白茶
http://www.ttbz.org.cn/Pdfs/Index/?ftype=st&pms=38189
九龙大白茶 白茶加工技术规范 福建南平市松渓
http://www.ttbz.org.cn/StandardManage/Detail/38194/
http://www.ttbz.org.cn/StandardManage/Detail/38192/
2.福建以外の白茶産地
- 湖南省
- 湘西黄金茶 白茶
- 郴州福茶 白茶
- 桑植白茶
桑植白茶は湖南省張家界市桑植県の特産品。通常の白茶は「萎凋→乾燥」で作られるのに対し、桑植白茶は「晒青、晾青、摇青、提香、压制」という独自の製造工程をもつ白茶。
公開されている標準を見つけられず、桑植白茶のくわしい製法まではわからなかったのですが、晾青(茶葉を静置)と摇青(茶葉をゆらす)は烏龍茶で行う工程なので、通常の白茶よりも発酵がすすみ華やかで厚みのある香りがする白茶なのかもしれません。
<参考URL(中国語)>
融合+创新,这就是桑植白茶的制作工艺!
https://new.qq.com/rain/a/20210506a03wnw00
百度百科
https://baike.baidu.com/item/%E6%A1%91%E6%A4%8D%E7%99%BD%E8%8C%B6/55222088?fr=aladdin
貴州省
- 遵義老白茶
雲南省
- 勐海茶 白茶(勐海白茶)
山東省
- 烟台茶 白茶
白茶はほかにも江西省、貴州省、広西チワン族自治区などでも徐々に生産が始まっていると言われています。こうしたエリアから今後また新しい名茶が生まれる可能性に期待です。
コラム:ゆえじの雑感
今回は各地の白茶を紹介してきましたが、主な産地はあいかわらず福建省。たとえば今私が滞在している香港で福建省以外のマイナー産地の白茶を入手するのは困難です。
一方、中国国内では通販サイトが活況で気になる茶葉もネットで簡単に購入することもできます。が、試飲せずに買うのはなかなか勇気がいるところ…それでも気になる茶葉はチャレンジしてみたいですけどね。