茶産業と観光を融合した茶園リゾート構想

こんにちは、中国茶ライフスタイル文化協会代表理事のゆえじです。

今回ご紹介するテーマは「茶産業と観光を融合した茶園リゾート構想」です。

茶園×観光の可能性

ワイナリーツアーってワクワクしますよね。

畑を眺めながらワインの試飲をする。ホテルやレストランで飲むワインとはまた違った体験を味わうことができます。

画像
▲オーストラリアで訪れたワイナリー

日本でも近年、ホテルを併設したワイナリーも増えているようで。

同じような体験がお茶でもできたらいいのになぁ〜と思っていましたが、どうやら中国各地で開発が進んでいるようです。

宿泊施設を併設した茶園リゾート

もっとも古い茶園リゾートは1997年に開業した広東省梅州市の雁南飛茶田リゾート村。豪華なホテルやレストランを併設した大規模な施設です。

雁南飛茶田リゾート村

雁南飞春茶上市 ‖ 只此青绿,予你一口春和景明mp.weixin.qq.com

福建省で代表的なのはマレーシア華僑によって設立された龍岩雲頂茶園。

龍岩雲頂茶園

このように従来は民間レベルで展開されていた茶園リゾートですが、福建などの産地では近年官民共同で、欧米のワイナリーをモデルとした本格的な茶園リゾート建設の計画が立ち上がっているようです。

茶連リゾート(茶荘園/tea manor)の定義

2019年には茶園リゾートに関する地方標準も発行されています。

※本記事では茶園リゾートと表現していますが、中国語では「茶荘園(英訳:tea manor)」となっています

茶園リゾート(茶荘園/tea manor)の定義
茶葉の生産、加工、観光、文化などが一体となった生態環境、美しい風景、交通利便性を併せ持ち、一次産業から三次産業までが融合した新しいタイプの茶産業のこと。

DB35/T 1857-2019 茶庄园建設指南

標準の中ではこの茶園リゾートの環境条件(茶園面積率やPM2.5の濃度など)、生産加工場や飲食施設などの衛生条件などの基準を定めています。標準を発行することで、最低限クリアしてほしい条件を整えた、という感じですかね。

地方活性化の新たな産業として注目を集めている茶園リゾート構想は中国各地で展開されつつあります。

事例1:湖南省吉首市

湘西黄金茶の産地・湖南省湘西土家族苗族自治州吉首市では2019年に主要地へつながる高速道路が開通したことを機に、地元政府が茶産業の観光化を基軸とした地域活性化計画を進めています。

茶摘み体験の様子

道路や周辺環境の美化、農産物展示販売センターや駐車場などの観光施設の整備を進めるとともに、茶葉の生産・加工・交易・観光・文化体験が一体となる大規模な「茶博園」の建設もはじまっています。

「茶博園」の完成イメージ

単なる茶産地の枠を超えて人が集まるハブ的な立ち位置へのステップアップを狙っているようです。

事例2:海南省五指山市

海南省五指山市毛納村でも。地元の特産品である五指山紅茶を中心とした、観光と茶産業の融合計画を促進しています。

茶摘みの様子

黎(リー)族の文化や伝統建築、南国の自然風景を生かした農村づくりを進め、地域活性化による地元民の持続的な増収を目指しています。

海南省民族博物館での展示

こうした地域的な特徴を活かすことで、他の茶産地との差別を図れますね。

事例3:貴州省烏江寨景区

貴州省の烏江寨景区は中国を代表する伝統集落のひとつです。

現在すでに観光地として有名ですが、烏江では緑茶や紅茶、白茶などを生産していることから、茶文化的な側面からの新たな地域振興が計画されています。

茶文化体験プロジェクトの中心となるのが「茶船博物館」の建設、烏江流域の風景を活かしつつ観光と茶産業を融合させる構想が注目されています。

ゆえじの雑感

貴州は行ったことないのですが、写真を見る限り烏江寨の雰囲気は個人的にかなりツボなので死ぬまでに一度訪れてみたいなぁと感じています。

ちなみに武夷岩茶の産地・福建省武夷山市の下梅村もかなり良かったです。

画像

下梅村は清代に武夷山の茶葉の集積地となっていた場所、昔の風情を残しつつ観光地化させて、今も人々が普通に暮らしています。

画像

武夷山風景区から8kmほどのところにあるので、また産地訪問できるよう時期が来たらぜひ訪れてみてください。

タイトルとURLをコピーしました