代表的な中国緑茶の一つである洞庭碧螺春について、特徴や産地、歴史・逸話などをまとめています。
洞庭碧螺春の特徴
- 洞庭碧螺春(どうていへきらしゅん / ピルチュン / dong ding bi luo chun)
伝統的な中国十大銘茶の一つ。色が青緑(碧色)で、巻貝のような形(螺)をしていて、春に採れるお茶。 明前が最も良いとされている。
白い産毛(白毫/はくごう)におおわれたフワフワの茶葉が特徴的。とても軽いので、500gの碧螺春を作るのに6~7万個の芽茶が必要になる。
茶畑でなく、梅や桃などの果樹園の中で、果樹の下に茶木が植えられているので、独特な果物の味わいを持つお茶と言われている。
形状 | とても細かい茶葉で、田螺のように くるくると湾曲している。 全体が産毛に覆われている |
水色 | 透き通った若葉色 |
香り | きめ細やかな甘み、ほのかに 花や果物のような華やかさもある |
味わい | フレッシュでコクと甘みを感じる |
洞庭碧螺春の産地
- 江蘇省蘇州市呉中区太湖洞庭山
太湖の東南部に広がる洞庭山は風光明媚な自然も有名で、国家5A級風景区に指定されている。洞庭山は東山と西山分かれていて、洞庭東山は半島のように太湖へ突き出ている。一方の洞庭西山はひとつの島のようにそびえたっている。地下には深層水がああり水源が豊富で茶葉栽培に適した土地。
海抜 | ?(3~300)m、多雲霧 |
年間平均気温 | 15.5~16.5℃ |
年間平均降雨量 | 1200~1500mm |
土壌 | 酸性、肥沃 |
洞庭碧螺春の歴史・逸話
- 洞庭山は唐代・陸羽の『茶経』にも記述がある歴史ある茶区。
- 清代の震鈞が著した『茶説』に「茶は碧螺春が上質。手に入れにくいが江蘇の天池産のものが最高級品」という記述がある。
- 清代の康熙38年(1699年)、康熙帝が南方巡幸で太湖を訪れた際、別の名前(※)で呼ばれていたこのお茶を大変気に入った。ただ、名前にあまり品がないとのことで康熙帝自ら「碧螺春」と改名し、献上茶に認定した。※「悩殺香」や「嚇殺人香」などの説がある。どちらも香り高いお茶であるという意味。