代表的な中国緑茶の一つである西湖龍井について、特徴や産地、歴史・逸話などをまとめています。
西湖龍井の特徴
- 西湖龍井(せいこロンジン / Xi hu long jing)
伝統的な中国十大銘茶の一つ。日本茶でいう”静岡茶”のような存在。「中国の緑茶といえば龍井茶!」
お茶の色、香り、味、形の4点が絶品であることから「四絶」と呼ばれている。「明前」が一番良い時期のお茶とされ、「明後」「雨前」がそれに続く。
「明前」「明後」「雨前」の違い
- 明前茶:清明節(4月5日頃)の前に収穫・製造されたもの。早春茶とも。日本茶でいう一番茶
- 明後茶:清明節(4月5日頃)の後に収穫・製造されたもの。正春茶とも。
- 雨前茶:穀雨(4月20日頃)の前に収穫・製造されたもの。
形状 | 扁平で真っ直ぐ尖っている |
水色 | 明るい黄緑色 |
香り | フレッシュで炒った豆のような甘い香り |
味わい | 程よい渋みとコクのある甘み |
西湖龍井の産地
- 浙江省杭州市西湖周辺
浙江省杭州市西湖西南にある龍井村周辺、海抜30m以上の丘陵に分布している。獅峰、虎砲、梅家塢、霊隠、五雲山などが伝統的な茶園として有名。
海抜 | 30m前後、春先は雲霧が多い |
年間平均気温 | 16.2℃ |
年間平均降雨量 | 1,600mm前後 |
土壌 | 酸性赤土、肥沃 |
西湖龍井の歴史・逸話
- 西湖にある「龍泓井(りゅうおうせい)」の聖水から名付けられたとされる。
- 西湖龍井茶と虎跑水という地下水の組み合わせが絶品であることからこの2つを合わせて「杭州双絶」と呼ばれている。
- 西湖あたりで茶樹の栽培が始まったのは南北朝時代で、現在まで1500年余りの歴史がある。
- 唐代の陸羽が著作した『茶経』にも、杭州で茶が盛んに製造されていたことが記されている。
- 宋代からは、天竺、霊隠一帯で製造された茶葉が皇帝への献上茶になっていたらしい。
- 清代の乾隆帝は生涯で4回龍井の産地を巡幸した。病に倒れた皇后に龍井茶を飲ませたところ、たちまち病から回復したため、西湖龍井の胡公廟の前にあった18本の茶樹に「御茶」という称号を与え、毎年その茶葉は皇太后専用として献上されるようになり、全国にその名を広めた。