中国の“四大茶区”ってどういう区分?
こちらの記事では、中国茶の産地“四大茶区”についてご紹介します。
Q: 中国の茶産地“四大茶区”ってどういう区分?
A:中国茶の産地は、長江を挟んで江北、江南、華南、西南の4つの地区に分けられています
中国の茶樹栽培面積は世界一の規模です。現在は21の省(区、市)、967もの県や市へ茶産地が広がっていて、大きく江北、江南、西南、華南の4つの地区に分けられています。
実は他にもさまざまな区分方法が提唱されていますが、一般的に普及しているのは中国農業科学院茶葉研究所が国家一級茶区として定めたこの四大茶区です。
江北茶区
長江中流から下流にかけてその北部一帯に広がる地域で、四大茶区のなかで最も北に位置する。この一帯の大部分が昼夜の気温差が大きく、高品質の茶葉を生産することができる。しかしその一方で、冬場は冷害や乾燥害といった寒害に見舞われることが多い。
江北茶区の地域特性
長江以北、秦嶺・淮河線以南、山東省沂河以東の一部。山東省、河南省、陝西省、甘粛省の南部、及び江蘇省、安徽省、湖北省の長江以北。
海抜 | 500m以下、北亜熱帯、 温帯、季節風気候 |
年平均気温 | 13~16℃ |
年間降水量 | 1,000mm前後、夏季の降水量が 年間降水量の40~50%を占める |
無霜期間 | 200~250日 |
年間平均湿度 | 75%前後、ただし東部と南部は 75%を超える、北部と西部は 乾燥しやすい |
土壌 | 黄棕壌(yellow brown earth) 黄褐土(yellow cinnamon soil) 紫色土(purplish soil) |
江北茶区の栽培品種
灌木型の中小葉種で耐寒性が強い品種が中心。紫陽種、信陽群体、黄山種、霍山金鶏種など。緑茶、黄茶を生産する。
江北茶区の代表的な中国茶
- 六安瓜片
- 信陽毛尖
- 秦巴霧毫
- 霍山黄芽
- 舒城蘭花
- 岳西翠蘭
- 午子仙毫
など
江南茶区
長江中流から下流にかけてその南部一帯に広がる地域。中国茶葉最大の産地で総生産量の約3分の2を占める。歴史の古い産地で、環境にも恵まれていることから高品質の銘茶を数多く産出する。
生産地は一部の標高が高い地域を除き、ほとんどが丘陵地帯で四季がはっきりしている。
江南茶区の地域特性
長江以北、秦嶺・淮河線以南、山東省沂河以東の一部。山東省、河南省、陝西省、甘粛省の南部、及び江蘇省、安徽省、湖北省の長江以北。
海抜 | 700m以下、長江沿岸の 山岳地帯や丘陵地帯。 亜熱帯、季節風気候 |
年平均気温 | 15~18℃ |
年間降水量 | 1,100~1,600mm、 春から夏にかけて降水量が 多く、豪雨も多い |
無霜期間 | 230~280日 |
年間平均湿度 | 80%前後 |
土壌 | 紅壌(Red Soil) 黄壌(yellow earth;yellow soil) 黄棕壌(yellow brown earth) 灰化土(Podzol) 有機質が豊富 |
江南茶区の栽培品種
灌木型の品種が中心だが、半喬木型品種も分布する。紅茶、緑茶、青茶、白茶、黒茶などを生産。
江南茶区の代表的な中国茶
- 黄山毛峰
- 老竹大方
- 休宁松蘿
- 太平猴魁
- 敬亭緑雪
- 西湖龍井
- 安吉白茶
- 洞庭碧螺春
- 南京雨花茶
- 君山銀針
- 安化松針
- 恩施玉露
- 廬山雲霧
- 白毫銀針
- 白牡丹
- 大紅袍
- 武夷肉桂
- 正山小種
- 祁門紅茶
など
華南茶区
中国の最も南に位置する地域。この地域一帯は有機質を豊富に含む肥沃な土壌に恵まれており、最も茶樹の生育に適している。
華南茶区の地域特性
南嶺山脈より南に位置する福建省南部、及び広東省、広西チワン族自治区、海南省、台湾。
海抜 | 熱帯、南亜熱帯気候 |
年平均気温 | 18~24℃、夏季(平均気温 22℃以上)が半年以上続く |
年間降水量 | 1,200~1,400mm、夏季は年間の 70~80%を占める。南部は北部 よりも降水量が多く、海南琼中 では2,608mmに達することも。 |
無霜期間 | 300日以上、霜が全く降りない 地域が多い |
年間平均湿度 | 80%以上、ただし広西チワン族 自治区西部や海南省南部では 春季に日照りすることがある |
土壌 | 磚紅壌(Latosols) 山地灰化土(Podzol) 黄壌(yellow earth;yellow soil) 紅壌(Red Soil) |
華南茶区の栽培品種
様々な品種が分布しているが主要なものは喬木型の大葉種。半喬木型、灌木型も生育している。
山間区には西双版納(シーサンパンナ)の納巴達大茶樹のような喬木型大茶樹も多い。紅砕茶、功夫紅茶、緑茶、青茶、白茶、普洱茶、六堡茶、大葉青、花茶などを生産。
華南茶区の代表的な中国茶
- 安渓鉄観音
- 鳳凰単叢
- 南糯白毫
- 凌雲白毫
- 凍頂烏龍茶
- 東方美人
など
西南茶区
茶樹の原産地を含む、最も古い中国西南部の生産地域。大部分が盆地や高原で標高が高く、気候条件にも恵まれている。大葉種紅砕茶を発展させた地区としても名高い。
西南茶区の地域特性
貴州省、四川省の大部分、重慶市全域、雲南省中・北部、西蔵チベット自治区東南部。
海抜 | 1,000~1,500m、 四川盆地は300~700m、 亜熱帯気候、地形が険しく 気候の変化が大きい |
年平均気温 | 四川盆地17℃、 雲貴高原14~15℃、 チベット自治区 ザユル県11.6℃ |
年間降水量 | 1,000mm以上、 降水分布は不均一で、 夏季は年間40~50%を 占め、冬季は10%以下。 霧が多い |
無霜期間 | 220~340日 |
年間平均湿度 | 80%以上 |
土壌 | 黄壌(yellow earth;yellow soil) 赤紅壌(Lateritic red soil) 紅壌(Red Soil) 黄棕壌(yellow brown earth) |
西南茶区の栽培品種
様々な品種が分布しており、喬木型、半喬木型もあるが大部分は灌木型の中、小葉種。
基本的に南部は大葉種、北部は中、小葉種が中心。紅茶や緑茶、黄茶、及び少数民族向けの黒茶(緊圧茶、散茶)など
西南茶区の代表的な中国茶
- 都匀毛尖
- 蒙頂甘露
- 青城雪芽
- 竹葉青
- 雲南普洱茶
- 六堡茶
など