こんにちは、中国茶ライフスタイル文化協会代表理事のゆえじです。
今回ご紹介するテーマは「武夷岩茶“洲茶”茶畑の風景」です。
武夷山に行ってきました!
約3年半ぶりに武夷山へ行ってきました!
前回ご紹介した桐木村へ行く途中で武夷岩茶の茶畑を見てきたので現地の写真とともにご紹介いたします。
武夷山は福建省の北西部、江西省との省境に位置しています。武夷山風景区は世界遺産にもなっている中国を代表する観光地です。
武夷岩茶とは
まずは武夷岩茶について。中国の国家標準では以下のように定義されています。
武夷山市の行政区域内において、独特な武夷山の自然生態環境の下で適切な茶樹品種を無性繁殖して栽培し、独特の伝統的な加工技術によって製造されたもので、岩韻(岩骨花香)の品質特性を有した烏龍茶。
国家標準『地理標示産品 武夷岩茶』GB/T 18745-2006
2006年に改訂された国家標準では武夷岩茶と名乗れる産地の範囲が「武夷山市全体」に拡大されています。
それ以前は武夷山風景区の中を「名岩区」その周辺を「丹岩区」と分け、別物として扱っていました。しかし武夷岩茶は知名度と需要が高いのに対し、名岩区は範囲も狭く生産量も限られてしまうため供給が追いついていませんでした。
そのため国家標準上では「武夷山市の中で作られる岩茶は武夷岩茶と名乗ってOK」という定義に変更されたのです。
正岩茶・半岩茶・洲茶とは
しかし、現実問題として武夷山風景区の岩山に囲まれたエリアと、その周辺とでは環境がまったく異なります。
環境が違えば茶葉の品質も変わる、ということで実際上はひとくちに武夷岩茶といっても生産されたエリアによって区別して取り扱われていることが多いです。
実際的な武夷岩茶の分類
- 正岩茶:武夷山風景区内の歴史ある茶畑
- 半岩茶:武夷山風景区内の比較的新しい茶畑
- 洲茶:武夷山風景区の外側
※注:半岩茶の定義は若干あいまいで、武夷山風景区周辺の丘陵地を半岩茶という場合もあります
この違いは産地の風景を見てみるとより分かりやすいと思います。
武夷山風景区内の風景
いわゆる正岩茶や半岩茶のエリアです。
世界遺産にもなっている風光明媚な岩山に囲まれた風景が広がっています。大紅袍の母樹もこの風景区の中にあります。
風景区の土は岩石が崩れたタイプで、粒子が荒く水はけが良いのが特徴です。
この土壌では茶樹は深くまで根を張らないと栄養や水分を摂ることができないため、正岩茶の味わいは厚みやコクのあり、余韻が長く続きます。
武夷山風景区の外側
風景区の外はいわゆる普通の田園風景です。特に河川に近いエリアは上流から流れてくる土砂なども含むため、岩石が崩れたタイプの土壌とは性質がまったく異なります。
洲茶の茶畑の風景
実際に武夷山風景区の周辺を走ってみました。地図的には風景区のちょうど裏側です。
切り立った岩山はなく、のどかな風景が広がっています。茶畑だけでなく野菜畑や田んぼもある、いわゆる「普通の田舎」の風景という感じです。
のどかな美しい自然が広がっていますが、場所によってはしっかり風景区の岩山も見えるため、やはりどこにでもある田舎とは違い武夷山なんだなぁと実感します。
たしかに「正岩茶」とは別物かもしれませんが、洲茶も十分においしいお茶が作れる環境なのが分かりました。
ちなみに、わざわざ洲茶として販売されることはありませんが、正岩茶や半岩茶など詳しい産地エリアを謳わずに「武夷岩茶」とだけ名乗っている岩茶は洲茶である可能性が高いといえます。
そのような岩茶と出会ったときはぜひこの風景を思い浮かべてみていただけるとうれしいです。