福建省の南部・安渓県を代表する安渓鉄観音について、特徴や産地、歴史・逸話などをまとめています。
安渓鉄観音の特徴
- 安渓鉄観音(あんけいてっかんのん / An xi tie guan yin)
伝統的な中国十大銘茶のひとつ。少なくとも清朝乾隆年間初期から栽培されており、既に200年以上の歴史がある。
青茶の中でも発酵は軽めで緑茶に近い。茶葉は「緑葉紅鑲の辺」(緑色の葉に赤色の縁どりがある)と表現される。
香りのタイプによって「濃香」「韻香」「清香」などに分類される。アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどを多く含む。
形状 | 肉厚な茶葉がぎゅっと丸まっていて 珠のようになっている |
水色 | 濃いめの黄金色 |
香り | 蜜、蘭、金木犀などに例えられる香り。 鉄観音独特の「音韻」はとにかく甘い |
味わい | 緑茶に近い爽やかな印象だが、 甘みもしっかり感じる。 余韻はさらに甘くなる |
安渓鉄観音の産地
- 福建省安渓県
アモイ(厦門)から車で2時間ほどの距離。1725年頃から茶の生産を始め、現在安渓の烏龍茶製造技術は中国の「国家級非物質文化遺産名録」に登録されている。
海抜 | 100~1000m 多雲霧、海洋性気候、 亜熱帯 |
年間平均気温 | 17.7~18.9℃ |
年間平均降雨量 | 1,700~1,900mm |
土壌 | 酸性、赤土、有機物豊富 |
安渓鉄観音の歴史・逸話
名前の由来は諸説ある
- 伝説1:清・乾隆帝の時代(1736~1796年)に、安渓西坪鎮松岩村松林頭の茶農・魏蔭が作ったという話。仏教への信仰が厚かった魏蔭は毎朝必ず一杯のお茶を観音像の前に供えていた。ある日、夢で見た輝く茶の木が観音岩にあるのを発見し、持ち帰り育てて茶を製造した。彼が作り上げたお茶は鉄のようにずっしりと重く、香りが素晴らしかったことから、観音様からの賜りものだと信じて「鉄観音」と名づけた。
- 伝説2:福建省の南山という場所にある鉄観石の間に生えていた1本の茶の木を持ち帰り育て、移植したことから「南岩鉄観音」と名付けられたとも言われている。
- 1945年シンガポール品評会で金杯、1950年タイの品評会で特等賞、1982年中国の品評会で金質賞を受賞するなどして、評価と知名度が高くなった。