【中国紅茶】正山小種の特徴、産地、歴史・逸話

代表的な中国紅茶の一つである正山小種について、特徴や産地、歴史・逸話などをまとめています。

正山小種の特徴

  • 正山小種( せいざんしょうしゅ / ラプサンスーチョン / zheng shan xiao zhong )
正山小種 茶葉

世界で初めて作られた紅茶。非常に強い燻香が特徴で、ハマる人はハマる。その香りはスコッチウイスキーや正露丸、乾燥龍眼などに例えられる。

近年ではスモーキーさを抑えた飲みやすい味わいのタイプが主流となっている。

形状強くよじられていて細長い形状、
赤みを帯びた黒褐色
水色深みのある赤紅色
香り特徴的な松煙の燻香
味わいまろやかで芳醇

正山小種の産地

  • 福建省武夷山市星村鎮桐木村

星村鎮で紅茶を作り始めたのは17世紀ごろから。正山小種は世界初の紅茶といわれている。

海抜800~1500m
年間平均気温18℃前後
年間平均降雨量約2,300mm
土壌肥沃、有機質豊富

正山小種の歴史・逸話

  • 明代から清代へ移行する17世紀の混乱期に、古くから岩茶を作っていた武夷山の桐木村へ明の軍隊が進行してきた。軍の駐屯中は茶の製造作業ができず、その間も茶葉の発酵が進んでしまい、これが最初の紅茶となったと言われている。また、軍が立ち去った後に急いで製茶するため松を燃やして乾燥作業の効率を上げたことが由来との説もある。
  • 1700年後半から本格的に作られはじめ、ラプサンスーチョン(Lapsang Souchong)という商標名でヨーロッパへ輸出、英国貴族のアフタヌーン・ティーとして広まった。
  • ラプサンスーチョンという呼び名は福建省の福建語(闽南語)の発音が由来。
  • ちなみに、初めてこのお茶を見た人たちは、茶葉の見た目が黒いため「烏茶」と呼び、これが紅茶の英語名「Black Tea」の語源となった。また、水色は赤色だったため中国では「紅茶」と呼び、これがそのままの形で日本へも伝わり定着した。
  • 正山小種の「正山」は武夷山(星村鎮桐木関)を、「小種」は岩茶の一種を指す。武夷山以外でつくられるものは「外山小種」と呼び分けていた。アヘン戦争後、中国国内の茶葉市場では競争が激化し、正山茶と外山茶の競争が起きた。結果的に正山茶が勝ったため、正山には正統という意味合いも込められている。
  • 燻焙する際、松の葉、松の枝や松脂を燃やし、その煙で燻す製法により、クセの強い独特の香りを生み出す。
  • 2006年頃から、松の煙で燻さずにつくる無煙タイプの正山小種がつくられはじめ、現在ではその製法が主流となっている。従来の松の煙で燻す作業で目を傷めることが多く、また、武夷山が自然保護区となったことで武夷山の松を採集できなくなり、伝統的な製法で作り続ける茶農家は減少の一途をたどっている。
  • 濃いめに抽出してミルクティーにして飲むのもおいしい。
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