【烏龍茶】東方美人の特徴、産地、歴史・逸話

台湾を代表する烏龍茶の一つ、東方美人について、特徴や産地、歴史・逸話などをまとめています。

東方美人の特徴

  • 東方美人(とうほうびじん / dong fang mei ren)

白毫烏龍、香檳(シャンピン)烏龍、紅烏龍、五色茶、膨風茶など、別称が多いお茶。

1800年代欧州へも輸出され、ではフォルモサウーロンやオリエンタルビューティーという名前で親しまれてきた。

青茶の中では発酵度が高め(約70%)で、紅茶に似たような甘みのある華やかさを持っている。この甘みのある独特の味や香りは「蜜香」と呼ばれ、ウンカという昆虫が噛むことによるもの。そのため茶園は無農薬。

形状赤や黄色を帯びた茶葉は
自然に曲がっていて、
芽や葉に白毫もみられる
水色透明感のある琥珀色
香りハチミツや熟した果実に
形容される香り
味わい紅茶のような深みのある
コクと甘み

東方美人の産地

  1. 台湾・新竹県、苗栗県、桃園県を含む桃竹苗エリア
  2. 台湾・新北市坪林区、石碇区などを含む文山エリア

東方美人の産地は大きく2つのエリアに分けられる。桃竹苗エリアは客家が多く住む地域で東方美人の原産地と言われている。一方の文山エリアはもともと文山包種茶で有名な産地。

ウンカの有無が東方美人の品質に影響するため、ウンカが発生しやすい低標高の産地が多い。

海抜400m、山岳起伏、群山連綿
年間平均気温20~25℃、海洋性気候
年間平均降雨量2,000m前後
土壌保水土壌

※上記表は新竹県のデータ

東方美人の歴史・逸話

  • 福建省建瓯市の矮脚烏龍をもとに作られ始めた。
  • ある茶農家がウンカによる食害を受けた茶葉をダメ元で製茶してみたところ非常に香り豊かなお茶ができた。しかしその製法を信じてもらえず、嘘つき(ホラ吹き)のお茶という意味で「膨風茶」と呼ばれるようになったという逸話がある。
  • 「五色茶」という名前は、高品質の茶葉が褐色・白・紅・黄・緑と色彩豊かであることから命名された。
  • 「オリエンタルビューティー(東方美人)」という名はイギリスのヴィクトリア女王が名付けたというのが通説だが、年代的に矛盾するとか。
  • ウンカ(チャノミドリヒメヨコバイ、中国名:小緑葉蝉)という体調3~4mmの小さな昆虫が、茶樹の若葉や茎から樹液を吸うと、傷ついた茶葉の修復防御反応の過程でファイトアレキシンという人でいう抗体のような物質を生成する。ファイトアレキシンの1つにテルペノイドという果物の香りがする低分子の物質の作用により、フルーティーな香りのお茶ができると考えられている。
  • 近年では台北の坪林や石碇一帯にも生産地が広がっている。
  • 伝統的な産地である桃竹苗エリアでは青心大冇(チンシンダーモウ)という品種から作られる。一方の文山エリアで生産される東方美人は、文山包種と同じ青心烏龍を原料にしている。この生産エリアと仕様している品種の違いは東方美人の風味にも大きな影響を与え、どちらが良いかは飲む人の好みが分かれる。
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